事業承継対策を行わなければ、後継者への経営移譲が円滑に進まない場合や、事業用資産が分散してしまう場合など、様々な要因から事業の不安定化や継続困難な状況におちいる危険があります。
そうならないためには、事業承継計画を作成し、計画的に経営権を後継者に移譲することで、事業継続と税制面の施策を有効に活用することができます。
事業承継税制
事業承継の際の贈与税・相続税の猶予制度があります。
相続税
現経営者の相続又は遺贈により、後継者が取得した自社株式の80%部分の相続税の納税が猶予及び免除されます。
贈与税
現経営者からの贈与により、後継者が取得した自社株式に対応する贈与税の納税が猶予及び免除されます。
事業承継税制の適用を受けるにあたり、県や税務署の認定等を受ける必要があります。
遺留分に関する民法特例
遺留分とは、本来、自分の財産は、誰にどのようにあげるのも自由なはずですが、民法は遺族の生活の安定や最低限度の相続人間の平等を確保するために、相続人(兄弟姉妹及びその子を除く。)に最低限の相続の権利を保障しています。
会社の経営又は個人事業を承継する際、この民法特例を活用すると、後継者を含めた現経営者の推定相続人全員の合意の上で、現経営者の後継者に贈与等された自社株式・事業用資産について、
- 遺留分算定基礎財産から除外(除外合意)又は
- 遺留分算定基礎財産に算入する価額の合意的な時価 に固定(固定合意)をすることができます。
両方組み合わせることも可能です。
助成金制度の活用
国と県は、事業承継に対して様々な補助金を用意しています。
①事業承継やM&Aをきっかけとした経営革新等を行う場合
小規模事業者 2/3以内 |
200万円 (事業転換上乗せ+300万円) |
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上記以外 1/2以内 |
150万円 (事業転換上乗せ+225万円) |
※M&Aとは、「Mergers(合併)」and「Acquisitions(買収)」の略で、直訳すると「合併と買収」を意味します。
②事業の再編・統合等の実施後に経営革新等を行う場合
採択上位 2/3以内 |
600万円 (事業転換上乗せ+600万円) |
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上記以外 1/2以内 |
450万円 (事業転換上乗せ+450万円) |
③創業から50年以上経過した老舗企業の維持発展のため、 後継者等の新たなチャレンジを応援
助成率 2/3以内 | 300万円 |
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④助成後3年以内に事業承継を予定している満60歳以上の中小企業者の事業改善につながる店舗改装、設備導入についての取組みを支援
助成率 2/3以内 | 300万円 |
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⑤親族外承継の準備に必要な企業価値の評価に伴う経費の助成
小規模企業者 助成率 2/3以内 | 1件当たり20万円 |
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中小企業者 助成率 2/3以内 | 1件当たり150万円 |
令和元年度の申請が終了している助成金もありますが、制度内容の見直しを含め令和2年度も継続予定です。
※商工会は、福井県事業承継ネットワークに参画し、コーディネーターによる「事業承継経営計画」作成も支援しています。